ハッシュドビーフ

陰キャ道

ハッシュドビーフだったか、
ビーフストロガノフだったか
ビーフシチューだったか

ぶっちゃけそこは
詳しく覚えてないのだが

実家にいた頃、
母が作ってくれる
ハッシュドビーフが好きだった。

 

私はお肉が食べられない。

けど、ハンバーグなど
ミンチ状のものは食べられる。

そのため、家でハッシュドビーフ系の
料理が出てくる時

母は肉をミンチに
してくれることが多かった。

お店でハッシュドビーフを
食べたくなっても、さすがに
「ハッシュドビーフのビーフぬき」
とは注文できない。

家でしか食べられない特別な味で、
私はとてもこれが好きだった。

私が高校生だったある日、
私は学校ですごく嫌なことがあり、
落ち込んで帰ってきたことがあった。

何に落ち込んでたのかは
あまりよく思い出せないけど、
とりあえずなんか落ち込んでた。

落ち込んだまま家に帰った時、
母はもう夕飯の支度をしていた。

ハッシュドビーフの匂いがした。

その日の夕食は
ハッシュドビーフだったのだ。

何かに落ち込んでいた私は、
この好物の匂いになんだか
ひどくほっとしてしまったのを覚えている。

そのハッシュドビーフを食べながら、
ぽろぽろ泣いてしまった。

何にそんなに落ち込んでたのかは
思い出せないのに、
この時の謎の安心感だけは
ずっと覚えている。

大人になった今でも、
外でハッシュドビーフを食べる時
その記憶を思い出す。

「え?なに?お肉くれるん?ラッキー」
と喜ぶツレのお皿に
自分の皿のビーフを乗せながら、

「はぁ、実家みたいに
ミンチにしてくれてたら、
美味しく食べられるのになぁ」
と自己中なことを思ったりしていた。

 

そしてある日気づいた。

私、去年鍋買ったやん。

 

ミンチのハッシュドビーフ、作れるやん!

 

私はすぐさまスーパーでひき肉を買い、
ハッシュドビーフを作ってみた。

カレーはよく作るし、
同じ要領で作ればいい。
難しくない。

できる…!!

と、思ったけど。
出来上がってみたのを食べると
なんか違うかった。

いや、美味しくはできたんだけど。

思い出の中の味って
なかなか再現が難しいもんだな〜。

そもそも朧げな記憶だし仕方ない!

母に聞いても、覚えてないって言いそうだ。
(そもそもバレないように泣いていたので
きっと気づいてない。)

でも、将来子どもができた時
自分もそういう夕飯を
作れたらいいなぁ。

と思ったりした。

陰キャ道
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