絶望を絶望で煮込んだ映画『メイドインアビス』感想

漫画・アニメ

今話題の映画『メイドインアビス -深き魂の黎明-』を観てきました。

ちなみに当方原作既読勢。原作の中でも超印象的なエピソードだったので「あれを映画館の大画面で見るのキツすぎでは?」と分かっていたのに自ら絶望を味わいにいくのはたまらなく気持ちよかったです。

◆ メイドインアビスってどんな話?

隅々まで探索されつくした世界に、唯一残された秘境の大穴『アビス』。
どこまで続くとも知れない深く巨大なその縦穴には、
奇妙奇怪な生物たちが生息し、
今の人類では作りえない貴重な遺物が眠っている。

「アビス」の不可思議に満ちた姿は人々を魅了し、冒険へと駆り立てた。
そうして幾度も大穴に挑戦する冒険者たちは、
次第に『探窟家』と呼ばれるようになっていった。

アビスの縁に築かれた街『オース』に暮らす孤児のリコは、
いつか母のような偉大な探窟家になり、アビスの謎を解き明かすことを夢見ていた。

ある日、母・ライザの白笛が発見されたことをきっかけに、
アビスの奥深くへ潜ることを決意するリコ。
リコに拾われた記憶喪失のロボット・レグも
自分の記憶を探しに一緒に行くことを決意する。

イントロダクション|劇場版「メイドインアビス」‐深き魂の黎明‐ より引用

しかしながらこの『アビス』は、下に潜れば潜るほど、上に戻る際に「上昇負荷」と呼ばれる負荷がかかるという設定です。

少し潜って帰るだけなら軽い眩暈や吐き気などで済むのですが、ある程度潜ってから戻るとなると「激痛、穴という穴からの出血」、もっと潜ると「人間性の喪失」など、潜れば潜るほど負荷が重くなるという設定です。

つまり、もぐったら戻ってこれないのです。

それでも、地下に何があるのか、知りたいという憧れは止まらん!だから冒険に出るんだ!

そんな話です。

2017年にアニメ化された際には、可愛らしい絵柄からは想像もつかないような鬱展開、グロ展開で一躍話題となりました。

ただグロで話題になった訳ではなく、本当にストーリーが面白いんですよ。
原作を初めて読んだ時「こんなに面白い漫画があったとは」と衝撃を受けたのを覚えています。

◆ 初見でも楽しめる?

本作は上記のリコレグに加え、ナナチというケモナー大歓喜超もふもふのかわいいキャラが仲間に加わり、さらに深部である第6層を目指すというストーリーです。

第6層へ行くための入口には、ボンドルドというナナチを酷い目に遭わせた悪党(文字にすると簡単ですが、結構シャレにならないくらいのトラウマレベルの“酷い目”です)の基地があるので、そいつとのバトルが描かれています。

メイドインアビスを全然知らない人にも是非見てほしい映画なんですけど、正直何も知らない状態で行っても難しいかなと思いますが、上記のことは最低限の情報ですので、上記のことが分かってればまぁ楽しめると思います。

ただ、上記の情報はほんとに最低限です。映画はアニメの続きから始まって、特にキャラ紹介とかも一切無しで進んでいくので、

  1. 原作を3巻まで読む
  2. アニメ1期(全13話)を見る
  3. 劇場版総集編を見る

のどれかでストーリー掴んでから行くのがおすすめです。

映画は原作3巻までの内容の続きなので、映画を楽しもうと思ったら取り敢えず3巻までで充分です。

アニメ全話イッキ見は時間もなくてしんどいかもですので、総集編もおすすめです。

◆ 感想

① ボンドルドが良い

簡単に言うと今回の映画の敵キャラ。無垢な子どもを使って人体実験をしているクソ野郎です。吐き気を催す邪悪とはまさにこいつのこと。

本当にクソ野郎過ぎて、映画を見ていて何回も何回も何回も「こいつ〇ね!!!」と思いました。

それなのに、それなのにですよ、悪役として完璧すぎてめちゃくちゃ魅力的なキャラなんですよ。

子どもを人体実験に使っているのも、子どもを酷い目に遭わせようとかそんなことは一切思っておらず、純粋に飽くなき探究心からなんです。実験に使うことを悪いとも思ってないんですよ。

実験に使った子どもの名前、性格、将来の夢なんかも一人一人全て覚えているみたいで、普通に子どもたちに愛情を注いでいるんですよね。

怖すぎる。ほんとサイコパス…。
見ようによってはただのもふもふ大好きケモナーおじさんなんですけどね。

「子どもの命?そんなの知らねー!ヒャッハー!」みたな分かりやすい悪役だった方がまだ救いがあるような気がします。

こんなにゴミクズみたいな野郎なのになぜ憎みきれないんだろう…本当に不思議なキャラです。

②  戦闘シーンとBGMが良すぎる

これは映像になったからこその強みですね。
ボンドルド登場シーンの演出とか本当に凄かった…。

戦闘シーンの動き、迫力はえぐいですよ。

幻想的な世界観とBGMは、この表現が適切かは分からないんですけど、ちょっとジブリを思い出しますね。

エンディングも良いんですよね…怖くて、暗くて、幻想的で。

③ 鑑賞マナーがよかった

これ映画の感想じゃねーじゃん!!
って感じですけど、マジでコレなんですよ。

私が入った回はほぼ満席でした。ていうか後ろの列は全部埋まってて、前の方が何席か空いてるっていうくらい。

なんか、全員黙って見てるんですけど、一体感が凄かった、気がします。ボンドルドがゲスなことをやった時に会場全体に広がる殺意の波動とか笑。喋る人とかもちろん1人もいませんでした。

あと、映画って、エンドロール始まったらもう終わりとみなして出ていく人が数人居たりしません?

私は映画館が明るくなるまでが作品だと思うので、途中で出ていく人がすごく気になっちゃうんですけど、メイドインアビスはなんとEDがちゃんと終わるまで全員着席してました。
あれだけの人数の人がいたのに、こんなの初めてです。

いや、正確に言うと1人出ていく人がいたんですけど、そのまま出ていくのかと思ったらトイレに行ってたみたいでわざわざまた帰ってきました笑
ちょっと面白かった。

やっぱオタクって「EDが流れ終わるまでが作品」って考えてる人が多いんだなと思いました。

◆ 迷ってる人は行ってほしい

迷ってる人、とりあえず見てから考えよ?

原作既読勢⇒悪いことは言わんから行け
アニメは全部見たよ⇒いいから行け
原作見てない、アニメも見てない⇒下記のことがわかってればとりあえずOK

ストーリー:『アビス』という未知なる穴を探窟する探窟家の物語。深部に潜れば潜るほど、上に戻るために『上昇負荷』という負荷がかかってしまう。

 

主人公:リコ。母は『白笛』と呼ばれる最高権威の探窟家の1人。母を探すため、そしてアビスへの憧れから、アビスに潜る。

仲間①:レグ。記憶喪失のロボット。『火葬砲』という威力がやばい技を持つ。

仲間②:ナナチ。ケモナー大歓喜な姿をしている。かつてボンドルドの実験台にされていた。

ボンドルド:子どもを使って実験をしているサイコパス。ちなみに白笛の1人。今回の映画は6層に行くため、6層入口にあるこいつの基地でこいつを倒す話。

ここまで最低限の情報。映画は原作3巻の続きだから出来れば見る前にそこまで読んで欲しい。それか総集編見て。


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